SNS、テレビ、雑誌、そしてAI。健康の情報はいくらでも出てきます。
どれが正しいかを見分けるより、自分に当てはまるかを確かめるほうが、たぶん近道です。
診察は、あっという間に終わってしまいます。聞きたかったことを聞けないまま、家に帰ってから調べる——ごく当たり前のことだと思います。わたしたち医療者の側が、十分に説明できていないぶんもあります。
ですのでここは、「調べるのをやめましょう」という話ではありません。調べたものを、どう受け取るかの話です。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| ①出どころ | 誰が言っているか。その人は、それを売っている人ではないか |
| ②いま飲んでいる薬と重ならないか | サプリや健康食品は、薬と打ち消し合ったり、強め合ったりすることがあります |
| ③やめどき | いつまで続けるのか、どうなったらやめるのか。決めてから始める |
💡 「PR」「広告」の表示を探してみてください
広告であること自体は問題ありません。ただ、広告は「よいところ」を伝えるためのものです。合わない人のことは書かれていません。
※薬との組み合わせが気になるときは、飲む前に薬剤師に聞いてください。お薬手帳を見せてもらえれば、その場で確認できます。
AIは、聞けばすぐに答えてくれます。やさしい言葉で、丁寧に。だからこそ、間違っていても気づきにくいことがあります。使うのをやめましょう、という話ではありません。使ったあとに、人に確かめられる場所があるといいという話です。
| 気をつけたいこと | なぜ |
|---|---|
| AIはあなたのカルテを持っていません | 同じ症状でも、年齢・持病・いま飲んでいる薬によって答えは変わります |
| もっともらしく間違えることがあります | 嘘をつくのではなく、それらしい文章を作るのが得意すぎるためです |
| 「大丈夫」と言われたときこそ | 安心した瞬間が、いちばん確かめにくくなります |
そう感じるのは、自然なことだと思います。待ち時間もありますし、聞きづらい空気も実際にあります。
そのうえでおすすめしたいのは、AIで下調べをして、「こう書いてあったのですが」と持っていく使い方です。かえって話が早くなることもあります。
💡 AIの答えを受け取ったら
AIは「わからない」と言うのが苦手です。
人間の専門家なら「それは私の専門外です」と言えます。AIはたいてい、何かしら答えてしまいます。
だから、答えが返ってきたことは、答えがあることを意味しません。
保健室には、「わからない」と正直に言える人がいます。AIに聞いたあとに、確かめにきてください。
大きなメディアで紹介されているものは、まったくの作り話ではないことがほとんどです。ただ、短い時間や限られた誌面に収めるために、そぎ落とされている部分があります。
| 省かれがちなこと | 本当は大事なところ |
|---|---|
| 誰に | どんな人を対象にした話なのか。健康な成人か、持病のある人か |
| どのくらい | 量や回数。「体にいい」ものも、多ければいいわけではありません |
| どのくらいの期間 | 数日の話か、何年も続けた話か |
| 合わない人 | 持病や薬によっては、避けたほうがいい場合があります |
※翌日にお店から売り切れる食べものは、たいてい「誰に・どのくらい」が省かれています。番組が悪いというより、そこまで入りきらないのだと思います。
体験談は、たいてい嘘ではありません。その人には、本当にそう感じられたのだと思います。
ただ「その人に起きたこと」であって、「あなたに起きること」ではありません。
| 思いがちなこと | もうひとつの見方 |
|---|---|
| 「よかった」という声が多い | 合わなかった人は、わざわざ書きません。残る声はかたよります |
| 使ったら治った | 時間がたって自然によくなることもあります。順番が同じでも、原因とは限りません |
| みんなが使っている | 使っている人の数と、効くかどうかは別の話です |
💡 「個人の感想です」という一文
小さく書かれていることが多いですが、これはいちばん正直な一文です。効果を約束できないから、そう書いてあります。
これは、本当にそうだと思います。はっきり言ってくれる人のほうが、頼もしく見えます。
ただ、知っている人ほど、言い切れなくなるという面があります。
以前、ある医師がこんなことを話していました。
病気や症状を知れば知るほど、言い切ることが難しくなる。
けれど診断をしないと始まらないから、検査や触診、その人の表情や動作から、強く疑われるものを見つけていくのだ——と。
知識があるほど、例外や条件が見えてきます。だから「必ず」「絶対」「誰でも」と言いにくくなる。
逆に言えば、そういう言葉が並んでいるときは、少し立ち止まってみてもいいのかもしれません。
| 見かけたら | 考えてみたいこと |
|---|---|
| 「必ず治る」「絶対に安全」 | 体に絶対はありません。合わない人が必ずいます |
| 「医者は教えてくれない」 | 教えない理由があるのか、それとも売りたいのか |
| 「今だけ」「早くしないと」 | 急がせる必要が、どこにあるのか |
| 「これさえあれば」 | ひとつで足りるなら、みんなそうしています |
※言い切らない情報が正しい、という意味でもありません。言い切っているかどうかは、判断の材料のひとつくらいに思ってください。
まじめに調べた人ほど、そうなります。反対のことを言っている情報が、どちらも本当らしく見えるからです。
そういうときは、「どれが正しいか」を決めようとしないほうがいいかもしれません。
問いを、こう置きかえてみてください。
「これは、わたしに当てはまるだろうか」
年齢、持病、いま飲んでいる薬、暮らし方。ここが違えば、正しい情報でも当てはまりません。そして、この部分はネットにもAIにも載っていません。あなたのことだからです。
| 持っていくもの | なぜ |
|---|---|
| お薬手帳 | 飲み合わせは、これがあればその場で確認できます |
| 気になった記事や画面 | スクリーンショットで十分です。「これ、どう思いますか」で話が早くなります |
| 「何が心配なのか」 | うまく言えなくてかまいません。一緒に言葉にします |
※保健室は、情報の正誤を判定する場所ではありません。あなたに当てはまるかどうかを、一緒に考える場所です。
このページは、特定の商品・番組・人物について述べたものではありません。
気になるものがあるときは、ご自身の状況に当てはまるかどうかを、かかりつけ医や薬剤師に確かめてください。
調べたものが正しいかどうかより、あなたに当てはまるかが大事です。
スクリーンショット一枚でかまいません。医師・看護師・薬剤師・管理栄養士が一緒に考えます。予約なし・無料です。
よさそうに見えると、試したくなりますよね。それ自体は悪いことではありません。試す前に、三つだけ確かめてみてください。